クライアントと仕事のやり取りをしている中で、「やっぱりこの案件やりたくないな」と思う人はいるのではないでしょうか。しかし、一度仕事として依頼を引き受けた以上、断りにくくてそのまま音信不通になり、ばっくれてしまう人は残念ながら一定数は存在します。
そこで、実際のところ、ばっくれても良いケースはあるのか、仕事をしたくない、あるいはできないときにはどのように対処すれば良いのかについて解説します。
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いかなる理由があってもばっくれるのは厳禁

結論から言うと、クライアントの依頼をばっくれても良いケースというのは存在しません。
「親が倒れて病院に運ばれた」、「事故に遭った」、「家族が亡くなって精神的に辛い」など、のっぴきならない事情があって急に仕事が続けられなくなってしまうケースというのはあります。
しかし、それでも出来る限り早い段階でクライアントに連絡をしておくべきです。事情があることを正直に伝え、納期を遅らせてもらったり、取引を取り止めにしてもらったりできないのかを相談してみてください。
自分自身が事故や病気で入院などをするといった理由でどうしても連絡ができない状況の場合は、家族に代わりに連絡を頼むか、遅くなってでも自分の状況が落ち着いてから「実はこういう事情があった」と連絡をしましょう。
事情がなくても辞めたいと思ったときの対応策は?

特に事情がないのにただなんとなくやりたくないという場合は正直に伝えるべきではありません。嘘をつけというわけではないですが、相手が納得するような理由を考えて伝えたほうが、あなたのイメージも崩れにくくなるでしょう。
相手に伝える理由の例として以下を挙げておきます。
- 力不足でやはり期待に沿えるような品質の記事が書けそうにない
- 全く知見のないテーマであるため、自分には書けそうにない
- 本業のほうが立て込んでしまって納期を守れそうにない
辞めたい理由を伝えて印象を良くするのは難しいですが、「ただ、やりたくないから」と伝えるよりも、クライアントに『そういうことなら仕方がないな』と思ってもらえる可能性は高まります。
また、理由を伝えるときには言い訳っぽくならないようにしましょう。あまりに言い訳がましいと『嘘をついているのではないか』と思われてしまいかねないため、十分に注意してください。
Webライター業界はなぜばっくれてしまう人が後を絶たないのか

どんな仕事でもばっくれる人はいるものですが、Webライター業界は当たり前のように一定数は仕事をばっくれる人がおり、後を絶たない状況にあります。ネット上でも『記事作成の外注を頼んだらばっくれられた』という嘆きを目にすることは少なくありません。
では、そもそもなぜWebライター業界ではばっくれてしまう人がこんなにもいるのでしょうか。Webライターの経験を踏まえてまとめてみました。
代わりの仕事はいくらでもあるため
Webライター向けの記事作成の仕事はネット上にゴロゴロと転がっています。そのため、今やり取りしているクライアントとの取引がダメになったとしても、社員やアルバイトの転職とは違い、すぐに代わりの案件を見つけることが可能です。
代わりがあるからこそ「仕事がダメになっても構わない」という気持ちからばっくれてしまうと考えられます。求人広告と同様に、新しいクライアントの募集は出てきますから、気軽に構えてしまっている人もいると言えるでしょう。
正式に雇用はされていないため
正式なやり取りであれば、トラブル防止のために「業務委託契約書」を結びますが、あくまでも業務を委託されたという立場であり、社員やアルバイトとして雇用されたわけではありません。そのため、気軽に辞めやすいと思っている人は少なからずいるようです。
確かに、雇用されていない分、社員やアルバイトよりも辞めやすくはあります。だからといって、ばっくれて良いことにはなりません。専属で案件を任された以上、社会人として責任を持ち、こなさなければならない仕事であることには変わりないです。
辞めたい場合は、依頼がひと段落するまで仕事をきちんとこなすか、正当な理由を述べて辞めるようにしましょう。
仕事としての意識が薄いため
Webライターの多くは、チャットワーク・Slackといったチャットツールやメール、電話などを使ってクライアントとやり取りをするのが主です。クラウドソーシングサイトを利用している場合は、サイト上のみでやり取りすることもあります。
職場のようにお互いの顔を突き合わせることが基本的にはないため、人によっては仕事を任せられているという自覚が薄くなりがちです。そのため、ばっくれても問題ないだろうという結論に至ってしまう可能性が考えられます。
連絡さえ断てば咎められにくいため
ばっくれとは、いわゆる音信不通にして仕事を放棄し、そのまま放置してしまうことです。先述したように、基本的にはメッセージや電話だけでのやり取りの繋がりですから、会社とは違い、家まで上司や従業員がお説教に来るということはまず考えにくいです。
特に、ネット上のやり取りだとクライアントの会社と自宅が遠く離れているケースも多いですから、実際に会いに来て咎められる可能性も限りなく低いと考えて良いでしょう。そのため、「放っておけば怒られることはない」と高を括る気持ちでばっくれる人もいると言えます。
クライアントの依頼をばっくれるとどうなる?

では、実際のところ、クライアントの依頼をばっくれてしまうとどのようなリスクがあるのでしょうか。ばっくれることによってWebライター側に生じるリスクについて見ていきましょう。
信用されなくなる
ばっくれてしまえば、すんなりWebライターの仕事を辞められると思うかもしれません。しかし、クライアントからの信用が失われ、二度と仕事を依頼してもらえなくなる可能性が非常に高いです。
そのため、「やはりもう一度ちゃんと仕事をやらせて欲しい」と思い直したとしても後の祭りです。仕事のチャンスを失いたくないのであれば、ばっくれるのは絶対に止めましょう。
特に、ランサーズやクラウドワークスのようなクラウドソーシングサイトでは、最低の評価が付けられてしまい、他のクライアントからの仕事を獲得するのも難しくなってしまう可能性が高まります。
ばっくれる行為を繰り返していると、いくら代わりの仕事があるとしてもそのうちに上手く案件を獲得できなくなるリスクも出てくるため、要注意です。
報酬を得られない
仕事を途中で放棄した場合は、当然ながら報酬を得ることはできません。既にこなして報酬が確定している分についても、振込予定日にきちんと振り込まれるかどうかはクライアント次第です。きちんとした会社であれば、会社の規約に則って、ばっくれた人に対しても確定分の報酬は支払う可能性はあります。
しかし、支払わないまま済ませてしまうケースもあると考えられるでしょう。クライアントが法人ではなく、個人の場合はその可能性が高いと考えたほうが良いです。
クラウドソーシングサイトを通してであれば確定分の報酬額に至っては受け取れます。しかし、評価コメントでクライアントに「この人には依頼しないほうが良いです」と書かれたり、叱責のメッセージが送られたりしても仕方がないです。
損害賠償を請求される可能性がある
業務委託契約書の内容によりますが、仕事をきちんと果たさなかった場合に「損害賠償を請求します」という記載がある場合、契約に則って損害賠償を請求される恐れがあります。
ばっくれたことによってクライアントは代わりに執筆してくれるWebライターを見つける手間がかかり、納期も遅れ、クライアント側に不利益が生じるため、当然と言えば当然です。
ただ、必ずしも業務委託契約書に業務の放棄に関する記載があるわけではありません。損害賠償を請求されるかどうかはケースバイケースになります。もし請求されたらクライアントの損害を賠償しなければならないため、注意しておきましょう。
後ろめたい想いをする
ばっくれてしまうと悪いことをした後ろめたさが残ります。だからといって、ばっくれた以上、後からきちんと謝ることもしづらいため、そのまま放置し続けるケースは少なくないでしょう。しかし、放置したからといってばっくれたという事実は変えようがありません。しばらくの間、罪悪感を抱き続けることになります。
人によっては全く気にしない人もいるかもしれませんが、それはそれで大問題です。仕事に対する責任能力が薄く、気軽にばっくれることを繰り返す可能性があるため、意識を改めましょう。
取引を帳消しにしても仕方がないケースは?

クライアントによっては、取引が帳消しになっても仕方がないケースもあります。その場合、相手側に問題があるということです。しかし、だからといってばっくれても良いかというとそういうわけではありません。
ばっくれると途端にあなたが悪者になってしまいますし、不利な立場に立たされてしまいます。相手側に問題があるからこそ、そこを指摘して正々堂々と取引を解消させましょう。
ここでは、取引を帳消しにしても仕方がないケースについてご紹介します。
【ケース1】聞いていた話と仕事内容が全く異なる場合
違う内容の仕事を依頼されたとしても、最初から他の仕事も任せる可能性があると聞いていれば戸惑うことはないでしょう。しかし、何も聞かされずにいきなり仕事の内容が全く変わってしまうケースは稀にあります。例として挙げるなら以下のようなケースです。
- 「簡単にできる150文字のアンケート回答文の作成」と聞いていたにも関わらず、「2000文字のコンテンツ記事の作成」をして欲しいと言われた
- 「記事作成の仕事をして欲しい」と聞いていたのに「記事の構成書を作って欲しい」と言われた
仕事の幅を広げるための新たな提案とは違い、いきなり仕事内容がガラリと変わる場合は取引を続けるべきか考えてみたほうが良いです。また、さらにタチの悪いクライアントの場合、報酬額が大幅に減額された依頼をしてくるケースもあります。
自分が納得してやってみたいと思った仕事でなければ、作業が思うように進まなかったり、作業するのが苦痛に感じたりしてしまうため、この場合は他のクライアントを探すことを検討してみましょう。
【ケース2】報酬を支払ってもらえない場合
指示通りに記事を作成したにも関わらず、報酬を支払ってもらえないケースも残念ながらあります。僕自身も、クラウドソーシングサイト上で仕事をこなしたのにいつまでも検収されないことがありました。
なぜ1週間も検収されないのか問い詰めたら、「誤字脱字がある」という全くわけのわからない指摘でした。本当に誤字脱字があるのなら、その時点で修正依頼をすれば良いだけの話ですし、1週間も放置して良い理由にはなりません。
支払いをあまりにも渋るため、結果的に、「弁護士に相談させて頂きます」と言ったら、あっさりと手のひらを返したように検収ボタンを押してくれましたね。確か数十記事規模で7万円くらいの高額な案件であったため、相手側は単純に支払いたくなかったのかもしれません。
クライアントがきちんとした企業であれば、このようなケースはまず考えにくいですが、個人の場合は稀にあると考えられます。金銭トラブルに発展しないようにするためにも、クラウドソーシングサイト上なら速やかに運営に報告する、直接の取引なら業務委託契約書を結ぶといった対策をしておきましょう。
また、誠意のないクライアントとは取引を続けるメリットがありません。提示された報酬がいくら高額であっても、支払ってもらえなければまるで意味がないですから、速やかに取引を解消しましょう。
逆にクライアントがばっくれることはある?

クライアントは依頼する側なのだからばっくれることはまず考えられないだろうと思うかもしれません。しかし、実際のところ、ばっくれるケースはあります。
「報酬を支払いたくない」「急に依頼を取り止めたくなった」など、理由はさまざまあるでしょう。ここで1つ、クライアントにばっくれられた僕の経験談を話します。
新しいクライアントの募集で『まずは500円5000文字でテスト案件をやってみて欲しい』という内容で募集があったため、応募をしました。3日以内に納品とのことでしたので、不慣れながらも3日間かけた渾身の記事を作成し、納品したのですが、一向に返信が来ないまま数日が過ぎていきました。
テスト期間だった3日間の間、ちょうどDeNA運営のWELQ炎上事件が起こったため、それが原因かなと考えています。なぜなら、渡されたマニュアルが「このサイト(明らかな競合他社サイト)はお手本だからパクってリライトしてね」という明らかな著作権違反の内容だったためです。
連絡がないまま、投稿先のサイトを確認してみたら見事に閉鎖されていました。きっとWELQが炎上して悪徳なアフィリエイト商法を続けるのが怖くなり、逃げてしまったのでしょうね。しかし、僕への依頼はまた別の話です。
このときは僕もかなり怒り心頭でクラウトソーシングサイトの運営元に報告しました。クライアントへのメッセージも送り、支払い請求もしましたが、二度と連絡が来ることはなかったです。
今となっては著作権違反の記事なんて書きたくなかったので、おじゃんになって本当に良かったんですけどね(笑)
このように、理不尽にばっくれられることもありますので、クライアント選びが非常に重要になってきます。ばっくれるのはもちろんダメですが、ばっくれられることもないように十分に気を付けてください。
さいごに│クライアントには誠実な対応を!
請け負った案件の仕事を辞めたいと思ったなら正直にそのことを伝えてください。ばっくれてもデメリットしかありません。
辞めたいなら辞めたいと言えば良いだけの話です。それが社会人としての責任ですし、クライアントが不利益を被ることのないように配慮し、気持ちよくWebライターとしての活動が続けられるようにしていきましょう。